News Releases

HOME > News Releases > 2010.01.01

2010年01月01日

450mm ウェーハ用エッジポリッシャーおよびドライ平坦化装置 雑誌記事


日刊工業新聞社 『機械技術』 誌の研磨・切断特集にて、当社技術が取り上げられました。
(「特集 ハイテク部品のための超精密研磨・切断加工技術」 『機械技術』 2010年1月号 pp. 27-29)

次世代向けエッジポリッシュ装置 「EP450W」 及びドライ平坦化装置 「DCP300X」
半導体デバイスには、高性能化と低価格化という二つの要求に対してデバイスを微細化するという非常に有効な手法が存在し、現在まで用いられ続けてきている。この手法は、採用され始めたデバイスの積層化などの新手法と並んで今後も継続されていくと考えられており、ITRS2007 には 2022 年までの微細化に関するロードマップが示されている。
一方、半導体デバイスの基板材料であるシリコンウェーハについては、そこに形成されるデバイスが微細化されていくに従い、求められる平坦度の要求が、ますます厳しくなってきている。また、半導体デバイスの生産効率を向上させる目的でウェーハ径の拡大も提案されてきており、今後、生産に使われるウェーハ径が 450mm 化される計画が語られている。
当社においては、これらの要求を満たすウェーハ生産手段の開発を進めているが、その中から本稿では、450mm シリコンウェーハのエッジ部を研磨する装置 「EP450W」 および 300mm シリコンウェーハの高平坦度加工を行うドライエッチング装置 「DCP300X」 について報告する。

エッジポリッシュ装置 EP450W
1. 開発経緯
シリコンウェーハの製造工程としては、通常、インゴットの切断、ウェーハの面取り、両面ラップ、エッチング、両面研磨 (片面研磨) という順で加工が行われる。半導体デバイスの高集積化に伴って、パーティクル由来の歩留まり低下が課題となり、ウェーハのエッジ部は、パーティクル発生原因の一つとして認識されるようになってきた。その理由としては、ウェーハ表裏面と比較しエッジ部の表面状態が粗くパーティクルが付着しやすいこと、半導体デバイス製品になるまでエッジ部が多くの装置や治具と接触することにより割れやカケが発生しやすいことなどが挙げられる。これに対し、当社では、パーティクル付着抑制やウェーハ強度アップによる歩留まり向上を狙いとした、ウェーハのエッジ部を鏡面化するエッジポリッシュ装置を開発し、製品化を行った。

2. ウェーハ大口径化の経緯
ウェーハの大口径化が段階的に進み、2000 年頃からは直径 300mm のシリコンウェーハが実用化されはじめ、現在、エッジ部の鏡面化はウェーハの SEMI 規格となった。当社では、他社に先立ち 1988 年より 150mm ウェーハ用エッジポリッシュ装置の販売を開始し、デバイスウェーハ向けも含め、延べ 600 台以上の装置を出荷してきた。2012 年には、直径 450mm ウェーハのパイロットラインが立ち上がると言われている。当社ではこれに先だって 450mm 対応のエッジポリッシュ装置 「EP450W」 の開発を行った。

3. 加工方式
EP450W の加工方式は、現在まで多くのユーザーにご使用いただき信頼性の高い 300mm ウェーハ向け装置 「EP300X」 の技術を踏襲している。エッジポリッシュの対象部位としては、ノッチ部とウェーハ外周部があり、さらに外周部には上ベベル、下ベベル、先端部の3つの部位がある。ノッチ部の研磨には、特殊形状の円盤状パッドを回転させ、ノッチ内部に押し当てることで研磨を行っている。上下ベベル部の研磨には、回転するウェーハに、12時方向と6時方向に設置された一定の角度を持つ2つのパッドを押し当て研磨する。先端部の研磨には、3時方向と9時方向に設置されたパッドをウェーハに押し当て研磨する。これら一連の動作を同時に行うことで、ウェーハ外周部の上ベベル、下ベベル、先端部に対し、3面同時研磨を行っている。

4. ロールオフ・ESFQRへの対応
エッジポリッシュは、当初、傷の除去や鏡面化が主な目的であったが、近年ではロールオフや ESFQR も重要な管理項目の一つとなってきた。エッジ部および表裏面の研磨を行うことにより、ウェーハの外周部には 「面ダレ」 形状が発生する。これが、ロールオフや ESFQR の数値を悪化させる。従来、ウェーハ表面で実際にデバイスが形成されるのは、外周から 5~6mm 内側であった。このため、エッジポリッシュによるロールオフや ESFQR の悪化がデバイス形成に与える影響は意識されていなかった。しかし、デバイスの形成領域が外周部へ拡大されるにつれ、ロールオフや ESFQR の数値改善が求められるようになり、新規加工方法による装置の開発が必要となってきた。EP450W では、パッドホルダーの適切な角度の選定などを行うことにより、「面ダレ」 悪化を効果的に抑制することを可能とした。

5. エッジポリッシュ向けスラリー
当社では、装置のみならず、そこに用いられる消耗副資材も加工プロセスの改善に重要との考えから、エッジポリッシュ工程に最適なスラリーも独自に開発している。ウェーハへの金属汚染やスラリー残渣の低減および研磨レートの向上など、ユーザーニーズに合わせたスラリー 「PURE EDGE シリーズ」 を販売している。

平坦化加工装置 DCP
DCP とは、名称を Dry Chemical Planarization の頭文字からとったもので、局所的なプラズマを工具として利用した、数値制御の平坦化加工装置である。この装置は、プラズマにより材料をエッチングすることで加工を行うため、プラズマによるエッチングができる材料で、且つ、厚み分布データが得られるものであれば、その被加工対象物の厚みを均一化することが原理的に可能である。現在では、一般的に、シリコンウェーハの高平坦度化や SOI ウェーハの活性層を狙い厚みで均一化する加工に用いられている。

1. 特徴
ウェーハ表裏面を鏡面化する両面研磨の工程においては、ウェーハの高平坦度を得るため、研磨装置、キャリア・スラリー・パッドなどの消耗副資材、そしてプロセスについて、それぞれを改善すると同時に、それらを組み合わせた状態で最適な研磨が行われるよう、研磨工程の緻密な管理が行われる。このような管理の結果、数年前には困難と考えられていたレベルの平坦度でさえ、両面研磨工程で得られるようになってきている。
これに対し、DCP では鏡面ウェーハの板厚分布データを加工前に測定し、その板厚分布が加工後に均一となるようなステージの走査速度を演算して加工するため、従来の研磨工程のような緻密な工程管理が要求されない。加工中、シリコンウェーハはプラズマを照射するノズルに対向するステージ上に保持されており、ステージ側を PC で演算した速度で動かすことによって加工が進行する。基本的に、速度は加工する位置のウェーハ厚みに反比例したものであり、厚みがある部分では速度を遅く、逆に厚みがない部分では速度を早くすることで、それぞれの位置でのエッチング量をコントロールし、平坦化加工を実現する。
このような方法で平坦化を行うためには、局所的な加工ができる工具が必要になるが、DCP はノズルから噴出するダウンストリームプラズマを工具として用いている。DCP の加工方式では被加工部とプラズマ発生部とが離れており、プラズマ発生部に多く存在するイオン成分は被加工部に届かないため、イオンによるウェーハダメージが発生しない。一方、プラズマ発生部で生成されたラジカル成分に関しては、生存時間がイオンと比較して長いため、被加工部まで輸送されエッチングが進行する。DCP では、イオン成分が消滅し、ラジカル成分のみが効率よく届く距離にプラズマ発生部を置いている。ラジカルは非常に反応性が高いため、ラジカルでない一般的な化学反応を用いた加工方法と同温度で比較した場合、非常に高い加工レートを得ることが可能となる。加工前の板厚分布により差異はあるものの、実際に DCP において 300mm シリコンウェーハの平坦化加工を1枚あたり4~5分で実施することが可能である。

2. 加工精度
図 (当サイトでは略) に DCP で 300mm 鏡面シリコンウェーハの平坦化加工を行った結果を示す。こちらは、EE=2mm で、サイトサイズ 26×8mm とした時、ウェーハ1枚の各サイトにおける SFQR 値を DCP 前後で比較したものである。SFQR の最大値で比較すると、加工前に 65nm であったものが加工後では 17nm となっており、DCP 加工を行うことによって非常に高平坦度なウェーハを得ることができた。

3. 今後の展開
ITRS2007 によると、シリコンウェーハは、現在よりもウェーハ端面に近い EE=1.5mm まで評価範囲を拡張しつつ、平坦度について更に高精度の要求が続いていくことが示されており、同時にウェーハ径の 450mm 化も行われることが記載されている。
これらの技術要求に対して、DCP を用いた場合、対応が比較的に容易と当社では考えている。その理由の一つ目は、工具であるプラズマの大きさが調整可能ということである。プラズマを噴出するノズルを小径化することによって、EE=1mm においても十分な加工精度を安定的に得ることができる。理由の二つ目は、局所的なプラズマエッチングを利用して、ウェーハ全面を加工していることである。一般的なウェーハ全面を同時にエッチングする装置においては、ウェーハ径に応じた大口径プラズマを均一に生成することは難しく、非常に大きな課題となり得るのに対し、DCP では、ウェーハ径と比較し小さなプラズマを用いる加工方式のため、ウェーハ径が 450mm に拡大してもウェーハ全面に対する加工特性を悪化させる構造的な要素がない。
これらの特徴を活かして、EE=1.5mm で SFQR の最大値が 10nm 台前半となる超平坦化の実現およびウェーハ 450mm 化に対応した装置開発を進めていく計画である。

BACK | NEXT